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2024.10.03

遺産相続では、遺言書の確認や相続人の確定、遺産分割協議など、多くの手続きが必要となります。スムーズに財産を引き継ぐには全体の流れや注意すべきポイントを事前に把握しておくことが大切ですので、ここで相続人が押さえておきたい基本的な手順などを解説していきます。

遺産を受け取るまでの全体の流れ

遺産相続全体の流れは次のようにまとめることができます。 

1.       遺言書を確認する

2.       相続人や遺産を調べる

3.       相続放棄について検討する

4.       遺産分割協議を行う

5.       取得した財産について名義変更を行う

6.       必要に応じて相続税の申告・納付を行う 

遺言書は作成されているケースと作成されていないケースがありますし、相続人が1人しかいないときは遺産分割協議を行いません。相続税についても課税されないケースが多いですし、各種相続手続きは状況により大きく変わるということは覚えておきましょう。

相続手続きのポイント

各種手続きのポイントをいくつか紹介します。 

l  遺言書の封は開けずに検認を行うこと

l  戸籍から相続人情報を読み取ること

l  マイナスの財産も調査すること

l  相続放棄・限定承認は3ヶ月以内に行うこと

l  相続税も考慮して遺産分割すること

l  遺産分割の結果は書面にまとめること 

詳細は下記の通りです。

遺言書の封は開けずに検認を行うこと

もし亡くなった方の自宅から遺言書が見つかったとき、その遺言書が封筒に入っているなら開けないように注意してください。
遺言書が見つかったときはまず家庭裁判所に持って行き、相続人ら立ち会いのもと開封を行わなければいけません。この手続きは「検認」と呼ばれ、遺言書が作成されていることやその内容、現時点での遺言書の状態などを確認するために実施します。

※公証役場や法務局で保管されている遺言書については検認不要。

戸籍から相続人情報を読み取ること

相続人は、戸籍謄本等を読み取ることにより調査します。基本は配偶者や子が相続人となりますので、大方の場合厳密な調査をしなくても相続人の存在は明らかです。それでも、元配偶者との間に生まれた子やその他家族が把握できていなかった相続人が出てくる可能性はゼロではありません。
そのため、必ず亡くなった方の戸籍謄本等を取得して漏れのないように調べてください。少なくとも亡くなった方についての一生分、一連の戸籍情報が必要です。請求方法や戸籍情報の読み取り、法定相続人の判断についてわからないことがあるときは、弁護士にご相談ください。

マイナスの財産も調査すること

財産調査も漏れのないようにすることが大事で、特に借金などのマイナスの財産については要注意です。
亡くなった方の自宅を調べて貸金業者や金融機関からの書面が保管されていないか調べてみましょう。金銭消費貸借契約書やその他通知書が届いているかもしれません。手がかりとなる資料がないときでも、不安があるときは信用情報機関に問い合わせてください。

相続放棄・限定承認は3ヶ月以内に行うこと

相続をしないという選択をするときは、相続開始の事実を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きを行います。
大きな借金が残っているときなどに「相続放棄」を考えることになるでしょう。あるいは「限定承認」という選択肢も検討します。限定承認をするとすべての遺産を相続することにはなりますが、借金等の返済義務は相続したプラスの財産の範囲に限定されます。そのため予想外に大きな債務が残っているときにも対処できますし、どうしても受け継ぎたい財産があるときにも適しています。

相続税も考慮して遺産分割すること

相続人が複数いるときは遺産を分割します。このときの話し合いが「遺産分割協議」です。法定の相続割合を基準に分割することが多いですが、その際は相続税のことも考慮してください。
遺産の総額が数千万円以上、1億円を超えるような場合は相続税の負担が発生する可能性が高いため、相続税の負担が小さくなるように工夫したり、次の相続(二次相続)を意識した工夫をしたり、税理士にも相談しながら分割方法を検討してください。

遺産分割協議の結果は書面にまとめること

遺産分割協議の結果は「遺産分割協議書」にまとめましょう。法的な義務ではありませんが、実務上は必須と捉えておくべき書面です。
これが作成されていないと、後になって遺産分割の方法について争いが生じる危険性がありますし、各財産の名義変更を行う際にもご自身が所有者となったことについての証明が難しくなってしまいます。
作成の仕方に決まりはありませんが、少なくとも相続人全員が合意をした旨の表示や全員の署名捺印はしておきましょう。

相続手続きでかかる費用

相続手続きでは費用がかかりますが、手続き一つひとつにかかる費用はそれほど大きなものではありません。
例えば検認を行う際は収入印紙代800円と郵便切手代数千円、検認済証明書の発行に150円、添付書類である戸籍謄本等に数百円がかかる程度。相続人の調査でも戸籍謄本の取得で1通あたり450円、除籍謄本や改製原戸籍なら1通あたり750円です。
遺産の調査を行うときも問い合わせ先によって金額は異なるものの、残高証明書やその他開示請求にかかる手数料は1,000円程度、高くても数千円程度です。

一方、専門家を利用するときはもう少しまとまった費用を準備することになります。金額は依頼先により異なり、ピンポイントで代行を頼むときは作業内容にもよりますが数万円から10万円ほど、総合的にサポートをしてもらうときは遺産総額の一定割合(数%ほど)で算定されることがあります。

ご自身で対応すればこの費用は浮かせることができますが、おすすめはできません。手続きが難航して親族間で揉めるリスクが高まりますし、第三者との間でトラブルが起こるリスクも高まってしまいます。

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