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2024.07.26

相続が始まったときは、まず相続人や遺産の内容を調べましょう。調査の結果、不動産が含まれていることがわかればその他の遺産も含めて遺産分割を行い、所有者を決めます。不動産に関しては相続登記が必要になったりその際登録免許税が発生したり、その他の財産にはない特色がありますので、特に注意が必要です。

当記事では「不動産相続の全体像を掴むこと」をゴールとし、流れや費用について解説をしております。

不動産を相続するときの手続

遺産相続をするとき、相続人同士で協議を行い遺産分割の方法を決めていきます。そのためには物件情報を詳しく調べておく必要がありますし、書類集めも必要になるでしょう。さらに法律上の義務として、所有者が変わったことを登記しなくてはなりません。

事前調査

不動産を相続する場合に限った話ではありませんが、まずはいくつか調査すべき事項があります。

1つは「法定相続人」です。

被相続人の戸籍情報を基に誰が相続人になるのかを明らかにしていきます。法定相続人の人数によって法定相続分が変わることから、不動産の分割方法に影響することもあるのです。また、法定相続人全員で協議をしないと遺産分割を有効に成立させることはできません。

もう1つ調査すべきことは「遺産」です。

被相続人の持っていた権利や義務のすべてを明らかにし、それぞれの価額も調べていきます。もし不動産が唯一の遺産だとすれば、利益を公平に分けるためにも遺産分割に工夫が必要です。一方で不動産の占める割合が小さくなるほど大きな遺産総額があれば、不動産を誰か1人が取得しても利益バランスが大きく崩れることなく、揉め事も避けやすくなります。

遺産分割協議

事前の調査が済めば、法定相続人の全員で遺産分割のやり方について話し合いましょう。

このときの目安は法定相続分です。「子ども同士」や「兄弟姉妹同士」、「父と母」なら均等に分割した値が法定相続分となりますが、配偶者と共同相続するときは以下の割合を頭数で均等に分割した値が法定相続分となります。

配偶者と共同相続するときの法定相続分は・・・

l  子ども :遺産全体の1/2

l  父母  :遺産全体の1/3

l  兄弟姉妹:遺産全体の1/4

その割合に配慮しつつ、不動産の所有者を決めていきます。誰か1人がそのままの形で取得する「現物分割」だと利益に大きな偏りが生じることもあるでしょう。現物分割が難しいときは「代償分割」や「換価分割」、あるいは「共有」という方法もあります。

 

不動産の分割方法

現物分割

・物件を1人でそのまま取得する方法

・手続が簡単

・遺産総額のうち不動産が占める割合が大きいときは、相続人間で受ける利益に偏りが生じやすい

代償分割

・物件を1人でそのまま取得し、その他の相続人に金銭を支払う方法

・不動産を取得しない相続人と利益の偏りが生じても是正できる

・取得者に金銭の負担がかかる

換価分割

・物件を売却して得た金銭を相続人で分け合う方法

・均等な遺産分割が実現できる

・売却手続に手間と時間がかかってしまう

共有

・物件を複数人で一緒に所有する方法

・手続が簡単

・今後の管理を一緒に行う必要があり、後々トラブルが起こるリスクが高い

 

相続登記

不動産を取得した場合、相続登記が必要です。

20244月からは相続登記が法律上の義務となっており、これを行わない場合には過料と呼ばれるペナルティを科される危険性があります。

3年以内に登記申請の義務を果たせば良いため急ぐ必要はありませんが、長く放置していると第三者に権利を主張できず大きなトラブルに発展するおそれもあるため要注意です。

不動産相続にかかる費用

不動産相続にかかる費用についても簡単に紹介いたします。

登録免許税

相続登記をするときに「登録免許税」の納付が必要です。

不動産の価額(課税標準額)に一定の税率を乗じることで納付額が算出できるのですが、相続の場面では基本的に税率「0.4%」で計算します。

※遺贈で取得したときは「2.0%」の税率が適用されるが、法定相続人に対する遺贈であれば「0.4%」で計算する。

つまり、価額が2,000万円の物件であれば、次の計算式に基づいて8万円の登録免許税が発生するとわかります。

2,000万円×0.4% = 8万円

相続税

取得した財産の価額に応じて相続税の負担も生まれます。

ただし基礎控除額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」と定められていますので、遺産の総額が基礎控除額以下であれば非課税で取得可能です。

一方、基礎控除額を上回る遺産を取得したときは、その残額や法定相続人の数などに応じた相続税の負担が発生します。

※特例や税額控除によって相続税の負担が発生しないこともある。

例)遺産は不動産のみ(相続税評価額5,000万円)。法定相続人は被相続人の子Aのみとする。

課税遺産総額 = 5,000万円-基礎控除額3,600万円

 = 1,400万円

相続税の総額 = 1,400万円×税率15%-控除額50万円

       = 160万円

非常にシンプルな例ですが、このように税額を調べることができます。実際には債務控除や小規模宅地等の特例、各種税額控除などが適用できることもありますし、法定相続人の数や分割した割合によっても税額は変わってきますので要注意です。正確に相続税の大きさを調べたいときは税理士に頼むことをおすすめします。

専門家費用

相続手続を進める過程で専門家を利用することもあります。相続登記であれば司法書士に、相続税については税理士に、相続人や親族、その他関係者と揉めたときには弁護士に相談・依頼をして解決を目指します。

相続手続は専門性も高く、一般の方が対応するにはハードルが高いといえます。そのため相続開始後は専門家探しに取り組むことも重要で、依頼には費用がかかることも覚えておきましょう。

金額は依頼をする専門家によって異なりますので、相談をしたときに聞いておき、見積もりも出してもらっておくと良いです。

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