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2023.05.02

遺産分割協議を進めるにあたっては、相続財産の把握ができていなければなりません。そこで相続開始後は、相続人らは財産の調査を行うことになります。ここではその調査方法や調査にかかる費用について解説をしていきます。


相続財産の調査方法について


相続財産としてよくあるもの、価額の大きなものを例に挙げて、それぞれの調査方法を簡単に説明していきます。


【預貯金の調査】

預貯金に関しては、被相続人が口座を開設していた金融機関の特定から始める必要があります。そこでまずは被相続人の自宅を調べてみましょう。通帳があればそこから金融機関の特定が可能です。その他郵便物に書類が届いていることもあります。

ネット銀行を利用して通帳がないケースもありますので、可能ならメールなども確認します。

金融機関の特定後は、残高証明書の発行を請求します。残高証明書を確認できればいくら預貯金があるのかがわかります。


【不動産の調査】

不動産は他の財産に比べて価額が大きい傾向にあるため、特に調査の必要性が高い財産と言えます。

宅地や家屋、投資用の建物など、被相続人が住まいとして使っていた自宅以外にも探してみましょう。

不動産は、固定資産税の納税通知書や登記識別情報通知書を確認することで調査できます。通知書には保有している不動産の番号等が記載されているため、その番号を頼りに法務局にて登記簿謄本を取得しておくと良いです。

あるいは、市区町村役場で固定資産課税台帳を取得することで調べることもできます。


【有価証券の調査】

国債や株式など、有価証券に分類される財産が残っているケースもあります。こちらもまずは自宅を調べ、取引のある金融機関等からの書類がないか、チェックしていきます。

証券や残高通知書などが手掛かりとなります。

保有しているのが上場株式である場合、「証券保管振替機構」に開示請求をすることで、口座を開設している機関がスムーズに把握できます。


【債務の調査】

借金など、マイナスの価値を持つ財産に関しても必ず調査します。

大きな資産があっても、それと同等以上の負債がある場合には相続放棄も検討する必要があるからです。相続放棄は、相続があったことを知ってから3ヶ月以内に行う必要があり、相続放棄など何らの手続も行わず単純承認してしまうと、負債もそのまま相続人が負担しないといけなくなります。

そのためできるだけ早期に財産調査を行い、相続放棄をすべきかどうかの判断ができる状態にしておく必要があるのです。

借金の存在が疑われる場合、自宅を捜索して請求書が届いていないかどうか、督促状が届いていないかどうかをチェックします。

不動産の登記も要チェックです。大きなローンを組むような場面では、不動産が担保に入れるケースがありますので、その形跡が登記から確認できれば借金の存在が確認できるかもしれません。

不安がある場合には「日本信用情報機構」「CIC」「全国銀行協会」などの機関に開示手続きを行うと良いです。

なお、債務が確認され、債権者から請求を受けたとしても弁済に応じてはいけません。被相続人の財産を勝手に処分してしまうと、単純承認したことになってしまいます。


相続財産の調査時にチェックすべきポイント


相続財産の調査の基本は、被相続人の自宅の捜索です。預金通帳などから、取引のあった機関などを特定することができます。

また、価値の財産、例えば貴金属や腕時計などが見つかることもあります。

特に「タンス預金」には要注意です。口座から下ろし、タンスなど自宅のどこかに隠してある現金があるかもしれません。意図的にわかりにくい場所に隠されていることもありますので、家中隅々まで調べるようにしましょう。

生命保険の契約をしていなかったかどうかも要チェックです。

やはり自宅の捜索から始め、保険会社からのお知らせの書面や生命保険証券がないか、探しましょう。生命保険金の受け取りが可能な場合、相続税の計算に一定額を含めなければなりません。


相続財産の調査にかかる費用


相続財産の調査をする場合、それが自宅の捜索であれば費用はかかりません。

しかし各取引先等に請求を行うこともあり、手続に応じた費用が発生することもあります。

例えば預貯金の調査では、金融機関に対して残高証明書の発行を依頼することになります。

そしてこのとき、数百円ないし1,000円ほどの手数料が必要になります。その他、請求時に提出が必要な戸籍謄本の取得に数百円がかかります。

不動産を調査するため固定資産課税台帳を取得する場合は、無償で済むケースもあります。有償のケースもありますが、こちらも数百円ほどで十分です。

登記簿謄本の取得にあたっては、1通あたり600円が必要です。

有価証券の長さにあたり証券保管振替機構に開示請求を行うのなら、1件あたり6,050円費用がかかります。口座名義人だともう少し安くて済むのですが、相続人など、本人以外の人物が請求をするには少し高額の手数料を負担しなければなりません。

相続財産の調査にあたって、様々な機関に対して情報の開示を求めるなど、多くの手続をこなしていく必要があります。調査に漏れがあると後々深刻なトラブルに発展する危険もあることから、一般的には相続人が直接行うのではなく弁護士などの専門家に任せて調査は進められます。

このとき、専門家の依頼にかかる費用も発生します。財産状況が複雑で仕事量が多くなるほど費用も大きくなる傾向にあります。費用の額は依頼先によって異なりますので、まずは相談をしてみると良いでしょう。






 

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